塚口サンサン劇場『サスペリア(1977) デジタルリマスター版』観てきました。
奇しくも2019年の関西は桜が満開のタイミング、しかし今は淡い桜の繊細な美しさよりギトギトケバケバの鮮血の赤が見たいんだ!
ちなみに今回観たのはこっちの古いほうですよ。
極彩色のオレンジ色の館へ
おなじみ塚口サンサン劇場の外観です。よく考えたらテーマカラーがビビッドオレンジなんですよね。サスペリアっぽいじゃないっすか。
せっかくなんでさらにサスペリアっぽくしときましょう。
彩度を上げて、コントラストを上げて、オレンジを赤に近づくように色を持ち上げて、ついでに垂直がきれいに撮れてないところを変形させて…
ちょっとサスペリアっぽくなりましたかね。極彩色のオレンジ色の(映画)館で極彩色の赤い館の映画を観るなんてなかなか乙じゃないですか。
怖い!意味分かんない!楽しい!
もちろん ひとりで見てきました
老若男女がそろった客層の闇鍋感もたまりません。ジャンルの中でホラー映画が一番客層が多彩な気がします。
映画の中身は…もう最高ですね!
冒頭の空港を出て屋敷へ向かうシーンからもう赤すぎてたまりません。
ホラー映画は本当に苦手で開始直後は観始めたことを後悔するんですが、最終的にめちゃくちゃ楽しんでるんですよね。
プロットが限界までシンプル…というよりほとんど説明なしで意味が分からないので置いてけぼりくらって混乱します。混乱した脳にギトギトケバケバの極彩色とゴリゴリの音楽が突き刺さってガンアゲですね!
余韻がなさ過ぎて逆に余韻しかないラストもたまりません。
話は真っ当なストーリーテリングとはかけ離れています。「あれ?蛆虫の発生は魔女関係ないの?魔女本人たちも避難してるし」「ラストなんで勝てるのか分かんねぇ…」「うるさくて変な音なののはいびきじゃなくてゴブリンの音楽だから!」
でも話の変さはどこかキュートでもあるし、真っ当なストーリーテリングより個々の瞬間のインパクトを突き詰めた感じは好感を覚えます。何より楽しいですしね!
グァダニーノ監督版リメイクサスペリアも好き
比較されることが多く賛否両論入り乱れる、ルカ・グァダニーノ監督版サスペリアですが、私は大好きです。
というよりオリジナルサスペリアはグァダニーノ版を観るための予習として観たので順序としてはグァダニーノ版ありきでした。
あまり個々の要素にテーマ性はなさそうだったアルジェント版サスペリアに対し、政治的メッセージを盛り込みまくったグァダニーノ版サスペリアですが、私的には
グァダニーノ版「意味がありすぎてどう解釈したらいいか分からない…」
アルジェント版「意味がなさすぎてどうしたらいいか分からない…」
とどちらも最終的に困惑で着地するのである意味似たようなものかも。
私は映画を観るときに映像や音楽・シーン単体よりも全体のストーリーの流れや作品の裏にあるテーマを重視するストーリー至上主義・テーマ至上主義的な見方をしていて、映画を観ながら「意味おいしい!意味もっとちょうだい!」と心の中で唱える「意味を食べるオバケ」と化しているので、どちらかというと全篇意味だらけのグァダニーノ版の方がより好きかも。
でもアルジェント版の、シーンやストーリーの意味よりも映像から伝わる圧倒的パワーを追い求めたような仕上がりには、私の趣味趣向を乗り越えて心に突き刺さってくる力強い崇高さを感じます。結局のところどっちも大好きですね。
(´-`).。oO(あとグァダニーノ版は解釈していくと「これって、旧来から権威付けられた『正しさ』で上から殴っただけじゃない?」という倫理的な疑問符がつく部分もあったりするんですよね。それはそれとしてグァダニーノ版大好きなんですが)
桜は来年も見られるけど、映画館でサスペリアは次いつ観られるか分からないぞ!
そんなこんなで塚口サンサン劇場では2019年4月11日まで『サスペリア(1977) デジタルリマスター版』を上映中です。
正直映画館で観たサスペリアは、家で観たサスペリアより5倍は面白かったです!(元が面白すぎるので意外と倍率が低い)ぜひこのタイミングに劇場で観ていただきたい映画ですね。
関西はちょうど2019年の桜の満開のタイミングで、町のいたるところで花見の宴席が設けられていました。しかし桜は来年も見られますが、サスペリアは来年映画館で観られるか分かりません。賢明な方ならどちらの優先順位が高いかもうお判りですね?
あと桜とサスペリアを比べたらサスペリアのほうが断然赤くてお得です。一度サスペリアを見たらきっと桜程度の赤みじゃ物足りなくなること受け合い。
みんなも行こうサスペリア、極彩色の赤い悪夢を見に行こう!